「住宅論−12のダイアローグ」青木淳著を読む(借りる)

eidostetsuro2003-12-10

青木淳氏と川俣正氏の対談が載っている。
青木氏が磯崎アトリエにいた頃、担当された水戸芸術館でのイベントに川俣氏はジャンキーなオブジェをアッチコッチに作って、いたらしく、非常に面白い。

川俣「つくられた場所がアノニマス(無署名性=川俣氏の解説による)であるように見せたいと思いました。(中略)僕は異化でもなく、同化でもないことに興味があります。異化の反対語は同化ではなくてアノニマスだと思います。大雑把に言えば近代以降、異化効果でアートは成り立ってきたと思う。(中略)」

青木「 川俣さんがつくったものは「その場の質」があってのものだけど、やはりその作品によってその場を変質させているわけでしょう。(中略)大きな意味では、異化に含まれるものであるような気もするんですけれど。」

川俣「結局、それは一時的な異化なのでしょうが、全く違うもの、名付けようのないものとしてつくられるのではなく、例えば足場のように見えるけれど、「狂った足場」とでも言えるようなものです。(後略)」

このアノニマス(無署名性)というところにポイントはあると思う。それによって世界の周囲をブラックボックス化してしまうような作用があるだろう。異化や同化よりも毒性は強いような、そんな印象もある。