円山応挙展を見る

円山応挙展チケット


大阪市立美術館にて円山応挙展を見る。

襖絵のように建築と一体化して、また折り畳みながら半立体化する屏風に新しい魅力を感じる。自然を見る時の感覚に近いものがある。
制作のされ方にはフォーマットのようなものも少し感じる。構図や色彩には定型化したものの安定した美がある。

構図は置かれた位置により左辺側が遠く、右辺側が近くにという定式がとられている。おそらく書院の作り方が床の間に対して左辺に明かり障子がきて、右辺に襖がくる構成になっていて、感覚的にその配列が馴染むのであろう。光は左辺の遠くからやってくる。日本画とは異なるジャンルであるが、両界マンダラの配置も左辺が金剛界で右辺が胎蔵界と配置の構図は似ている。

色彩は現在のCGであれば一度使用したものの再現はコピーすればよいので簡単であるが、岩絵具の調合等について、きちんとしたルールがあり、テーマに則して使い分けられている感じがある。詳しく調べた訳ではないが工房制作的な分業的な方法が採られていたのではないだろうか?

それと写実によって描かれたものと、虎のように実在はするが日本にはいないので猫をモデルに想像で描かれたものと、龍とか幽霊のように存在せず想像上の産物との、この三種類の構成はちょうど並べてみれば三輻対のように観えてきます。
中央にどれを持ってくるのか考えるだけでも楽しい感じがする。メインは僕は虎の絵の写実と想像のイメージが混ざったような世界にしたいですね。世界を理解することは、見た事の無い虎を身近な猫をモデルに描くことに限りなく近いと思う。

そして時として氷図屏風のような破綻したものも表れる。これもまた謎のひとつであろうか。