茂木健一郎さんの日記を読む

eidostetsuro2003-11-01

茂木健一郎さんの日記から引用する。
茂木さんのHPでは、大学の講義をそのまま音声データで流していたり、非常にオープンな雰囲気で良いなと感じる。メッセージも発想の手掛かりになるものばかり。知らない哲学者の名前とか出るが、少しずつ参考にして読んでいこう。

朝日カルチャーセンターでは、
ベルグソンらの指摘する、
「人間は時間を空間化してしか把握できない」という問題と、逆に、
「空間を並列的にとらえていても、それを言語のような意識の逐次的な処理に
載せようとすると、時間化するしかない」という問題を論じた。
クオリア日記より引用

少し前にハウスコンペに提出したつくば市M邸のコンセプトを思い出した。

ここにUPしておこう。

ハウスコンペ つくば市M邸計画―01(2003年5月29日)
設計主旨
A 設計条件の中から印象に残ったものを取り出してみる。
1 眺めただけでリラックスできるようなもの。たとえば、山小屋やリゾートハウス、行楽地の喫茶店のような。
2 待合室に入ると、さらに落ち着く内装(たとえば、まきストーブ、むくの板壁のような)
3 待合室からも眺められる位置で周囲からの視線をさえぎる配置の庭
4 診療所に向かい、一歩入って出てゆくまで、すべての時間を診療に結びつける。これは、空間と人的資源の節約にもなると考える。
B 設計条件の分析
設計条件を読むと、この建築を訪れた人々に、ちょうど「話言葉」による会話のようにスムースな光景を感じさせ、シームレスな構成が必要とされていると感じる。「話言葉」は順序よく最初から最後まで聞かないと全体像が分からない不可逆的なプロセスである(特に日本語はYES、NOさえ最後まで分からない)
シームレスで不可逆的な空間の経験は現実には不可避であるが、そこに歪みを与えることによって空間を活性化することは可能であろうか?建築が人間の想像力(現実世界を自由に解釈し、順序や配置を組替える)の契機になる為には、どのような方法が有りえるのだろうか?
C プランニング
ここで、設計条件を頭に入れて、プランニングを始める。その日の夜に、設計条件に対応した間取りの部品が無秩序に圧縮されて配列された夢を見た。翌日、目覚めてから、改めて最初から、その無秩序に圧縮されたイメージを手掛かりにプランのスケッチを再開した。そして夢に現れた圧縮されたイメージを引き伸ばし折り畳みして、同じ形態を繰り返すプランが作成された。
アプローチで経験した空間の形態(象徴的な三角大屋根と外部階段)と相似状のものが、診察エリアの窓から中庭越しにイメージが圧縮されて再現される。アプローチでの歪みの無い象徴的な三角大屋根は中庭側で他の部分と結合され、曖昧な形態となる。外部階段も圧縮され変形している。視覚的経験の、そのリズム(話言葉に対する謡の世界のように繰り返される事で心に響く)によって、意識の不可逆的プロセスを解体する手掛かりが得られるのではないかと考える。
そして意識の領域で一旦再構成されたプランを、鏡像のように正反対の写像に変換してみる。それによりさらに意識の領域の限界を超えて、意識(不可逆世界)と無意識(可逆世界)の境界を混じり合わせることが可能になるのではないかと考えた。
結果として生成された引き伸ばし折り畳まれた形状に必要緒室を配分している為、無意味ではないが有意味でもない空間が大量に生成している。
D 工法の選択
山小屋、まきストーブ、むくの板壁等から連想されるものとして、集成材角ログによるログハウス工法を提案します。垂直材としての象徴性を持った柱によらず、水平材の角材のみを積み上げる事で構造が生成される(阪神淡路震災でログハウスの倒壊例がなかったこともあり、2002年度より3階建てまで可能に規制緩和された)
準防火地域への対応は外部に準防火地域対応型木製サイディング貼りとします。