「アート×セラピー潮流」関則雄+三脇康生+井上リサ著を読む(借りる)

eidostetsuro2003-12-07

アートによるセラピーの可能性に言及した、ユニークな著作。少し過激な記述もあるが現実とはそんなものでもある。
p168井上リサ「臨床美学はいかにして誕生するのか」より引用http://www.t3.rim.or.jp/~lisalabo/

デッサンとは臨床学的行為である。
「健全」神話の下に抑圧された、微細で微弱な輝きを再現する試み。
(中略)
「Die Heilung」は、作品制作中に怪我でできた手の創傷をビデオで毎日記録し続けた作品である。重要なのは、記録し続けるという行為であって、作品タイトルにHeilung(癒えること)としたからといって、私は何ら傷口の完全治癒を期待しているわけではない。むしろ手の創傷がどのような経過をたどるのかを毎日観察し、その情況に追随しながら微量の変化を描いていく行為にもっとも興味をおぼえたのである。これは画家にとってのデッサンという行為に等しいのだ。
(中略)
私にとっては、この「回復」の根拠をデッサンし続けることによって、ようやく「癒える」という状況にたどりつくのである。

無意識への視線は共感できる部分がある。無意識との関わりを通じて、いろいろと考えてみたいと思います。