赤ちゃんは顔をよむ

eidostetsuro2003-10-15

山口真美著「赤ちゃんは顔をよむ」を読む。

赤ちゃんは、一番身近で触れる機会の多い「お母さんの顔」よりも生まれてから次々と出会う、「様々な人の合成顔」の方に興味を示すという実験結果を読んで、イメージの合成能力は、やはり人間の本能なんだと再認識する。
異質なイメージが互いに主張しながら、いつのまにか溶け込んでいく。イメージの裂け目というようなものは、やはり想像上のものでしかないのであろう。すべてが隙間無く、くっ付いているんだ。

後半に書かれている「カージオイド変換」によって、あらゆるものが大人「顔」化していくプロセスの説明は面白い。家、自動車、動物等々が具体的にすこしづつ変形されていく。フォークロアな民家が「顔」的な表情を持っているのは、同じような様式を長い年月掛けて繰り返し作り続けるうちに、微妙な変形がなされ「カージオイド変換」と同様の効果が現れたのではないだろうか?
最近の自動車のデザインは、ほとんど顔そのものだし。

顔的なものとランドスケープが同居し混ざり合うイメージが好きな僕にとって、非常に刺激的な一冊であった。表紙の顔も横山ノックみたいなヘアで、また良い。